月: <span>2021年10月</span>
月: 2021年10月

漢文にもO+Vの語順有り(一名 客体の提示)

白文(十一文字): 小人之使為國家菑害並至 (大學章句) 漢文法: 「小人之使」の四字の語順が奇妙に感ぜられるかもしれませんが、「小人」は「使」(動詞)に対して客語です。動詞の上に飛び出しておるのは強調のためとでも考えて …

素読必読書(基礎学力を修得するための必読書)

ご子弟の教育の参考までに以下の書を挙げたものでありまして、大人になってから漢文の勉強を始めるのに四書なり小学なりの暗誦から始めよというのではありません。しかし、一通り学習しておくことはやはり有益なことでありますから、論語 …

不の品詞

私が漢文の勉強を始めた時は無論、いわゆる参考書の類なり、明治書院の漢文本なりから入りました。そこでまあ句法や返り点などに触れるわけですが、段々と飽きたらなくなる。ちょっとそう言う書物の訓読と言うものが場当たり的なものに感 …

反語とは

まず反語とは何かということでありますが、これは簡単に言えば反転的疑問のことです。要するに疑問の一種です。疑問には普通の疑問と反語とに拘わらず、以下の如く二つに分けられます。 思惟の反省を表す記号 感動詞: 乎、與等 副詞 …

『妻(めあはす)』は他動の客観的生産性動詞的用法

旧独学漢文法より転載。 最近ですね、ちょっと私も用例集と言いますか、孟子なり何なりから任意の例文を採ってそれを品詞や成分関係、あとは検索の便利のために句法の項や標準漢文法内の記載箇所などを書き置いて一覧にしてみようと思っ …

「食其所愛之肉」について

たとえば、「嘗て登った山」「冬の山」と言ったときの「山」は自ら単独に考えられる具備した全き概念を表しておる。即ち、「嘗て登った」「冬の」などと言う語が無くても不足はない。ただ詳しくなくなるだけであります。このような「嘗て …

題目語と単純提示語との相違

『標準漢文法』六八一項に「単純提示語」を説明して曰く、 単純提示語は、単に特に注意されて提示されるもので、題目として考へられないものである。日本語で言へば「は」「も」が附かずに「だに」「さへ」「すら」「まで」「や」「か」 …

漢文は上から下に読むもの

漢文と云えば何でも返って読まねばならないと考えてはなりません。 漢文法鉄則: 頭から読んで済む字はなるべく頭から読む たとえば、 往観花於上野 を読み下して右図のごとくするも解釈上問題はありません。「上野に花を観に往く」 …

「可」について(補遺)

以前に旧ブログ『獨学漢文法』にて論語の「民可使由之」の一節を例に使動(使役)について述べたのでありますが、其の時には朱熹の注を元に原文を解釈し能事畢れりとしておりましたが、「可」の文法的性能をも併せて考えますと、古註のほ …

「無」と「不有」とについて

無 「無」は論理学で所謂「遮詮」のことでして、これから否定するのではなく、否定したところの結果を肯定的に表しておるのです。判断の形式はどこまでも肯定なのです。「不有害(害あらず)」と云えば否定でも、「無害」と云えば「害が …